文字サイズ
06-6633-0717 ご予約優先

学校保健委員会に出席してきました

 11月10日火曜日、大阪市立金塚小学校の「学校保健委員会」に、学校歯科医として出席してきました。学校保健委員会は、4〜6年生の児童、保護者、教職員と校医で構成される、学校の保健事業を検討する会です。今回は、「噛む」という事と健康をテーマにした内容でありましたので、児童19名、保護者3名、教職員4名と歯科担当校医の私が出席して、検討して参りました。

 まず、児童による研究発表では、「アンケート調査による噛む回数調べ」の結果、噛む回数が20回以上は、1年生23.7%、2年生25%、3年生71.0%、4年生62.5%、5年生32.6%、6年生55.9%となり、必ずしも年齢が高いほどよく噛むことを意識しているわけではないことが判明しました。また、30回以上噛んでいる児童は、1年生10.5%、2年生8.3%、3年生51.6%、4年生27.5%、5年生15.2%、6年生11.8%、全校児童で20%と低く、「カミング30運動」はまだまだ浸透していないことが判明しました。

 また、19名の学校保険委員会の児童が相互に咬合力を測定した結果も発表され、前歯の咬合力は臼歯の咬合力に比べ、明らかに弱いこと、臼歯の咬合力測定結果では、左右で咬合力に差が出ていたことが判明したと発表を頂きました。

 次に、養護教諭から「むかしの人」と「現代人」の食事事情について発表があり、「現代人」がいかに軟食であるかを説明されました。また、保護者へのアンケートで「噛みごたえのある」食事を与える意識はあるものの、実際には諸事情により実現しにくい現状が明らかにされました。

 最後に、私から、「噛むことの意味」と「噛むときの姿勢」についてお話しさせていただきました。少し詳しくブログに書かせていただきます。

 「噛む」というのは、ただ、上下の歯をかみ合わせて食べ物を細かくするだけではありません。食べ物は口から喉を通って、胃に入り、腸で吸収され栄養にならないと意味がありません。そこで、食べ物を歯でかみ砕き、唾液と混ぜ、飲み込みやすくすることが重要です。

 「噛む」行為を行うと、自然と唾液が出てきます。口を動かす刺激や、かみ砕くことで、食物から「味」が出てきて味覚が刺激されることで、唾液が出てくるわけです。

 唾液は食べ物に水分を含ませ、軟らかくします。「噛む」ことで唾液が分泌され、食べ物は軟らかくなり、さらに「噛んで混ぜる」ことで飲み込みやすい食べ物の塊り(食塊)を形成します。

 噛む→唾液が出る→食塊を形成する→飲み込む

この、一連の流れが生命を維持する、健康を維持するために必要なのです。

 ここで、「唾液」というものが出てまいりました。この「唾液」がまた、健康維持に重要な働きをします。唾液には酸性に傾いた口の中の環境を中性から弱アルカリ性の正常な状態に戻す働きがあります。これを「緩衝能」と言います。中学くらいの化学で習った様に記憶しています。

 食物を摂取すると口の中は酸性に傾きます。歯が酸にさらされると当然溶かされてしまいます。そうならないのは、唾液に緩衝能があるからで、また、唾液中の成分で歯の表面が再石灰化する為、1日何度かの食事を摂っても、そう簡単にむし歯にならない様な仕組みになっています。体って良くできています。ただ、歯みがきしないと「むし歯」や「歯周病」になってしまう様な現代の食事環境なので、油断は禁物ですよ!

 唾液には「緩衝能」の他、抗菌物質も豊富に含まれています。むし歯は主にミュータンス菌、歯周病は主にジンジバリス菌という細菌により生じます。それらの菌の増殖を抑える唾液の抗菌作用は口の中の健康維持に重要な要素となります。

 よく噛むことは唾液分泌を促し、唾液を口の隅々まで循環させますので、口の中の健康維持に「噛む」ことは重要だとおわかり頂けましたでしょうか?

 我々は、無意識に食物を噛んで、飲み込んでいます。「噛む」という文字を見ると、「噛むのには歯を使うのだろう」と想像できます。当然歯は使います。しかし、食べ物を噛んで飲み込むまでの一連の動作は、歯だけでは成り立ちません。

 噛む行為を「餅つき」にたとえると、杵で叩いた餅をひっくり返す手が必要ですが、この手に当たるのが「舌」であり「ほっぺの筋肉」です。舌や頬の筋肉の動きを使って、無意識に、上手に食べ物を移動させて上下の歯で噛みやすい位置に食べ物を移動させます。また、飲み込むためには喉の方に食塊を移動させなければなりません。食塊を口の前方から後方にしかも上アゴの奥に移動させるのも舌や頬の筋肉の動きなのです。

 今回、出席された皆さんには、キシリトールタブレットを使って噛み砕き、砕いたものを上アゴの奥の方へそして喉に流し込む様に「ゴックン」と飲み込む動作を舌や頬の動きを意識しながら実践して頂きました。

 次に、キシリトールガムを噛んで頂き、ネコ背で前屈みで噛むときと背筋を伸ばして噛むとき、ガムが口の中でどの辺りに来やすいかを感じて頂きました。口の中にも重力が働くわけで、前屈みでガムを噛むと、ガムの重みで歯の前方部にガムが移動します。しかし、前歯では噛みにくいので、犬歯の少し後ろの歯で噛むことになります。背筋を伸ばすとガムは自然と奥歯の方に移動し、ガム噛みながら自然と出てくる唾液を「ゴックン」と飲み込みやすい位置で噛む様になります。

 食事の最終動作は、食塊を飲み込むことです。そのため、飲み込みやすい姿勢で食事をするのが理想です。前屈みになると重力で食塊は口の前方に移動します。奥歯で噛まず、真ん中あたりの歯で噛んで、ゴックンと飲み込んでしまいます。最近は軟らかい料理が増えていますので、奥歯でしっかり噛まなくても喉に流し込むことが可能な固さになってしまいます。前屈みで食事をしても何も不自由しないと思います。しかし、その様な食事を成長期に続けていると、舌の筋肉の使い方が悪くなったり、キチンとした飲み込み動作が出来なくなったり、アゴの成長発育に支障を来したりすることもあります。

 昔、左手でお茶碗を持って、姿勢良く背筋を伸ばして食事をする様に「しつけ」が行われていました。これは「古い因習」ではなく合理的根拠があるわけです。テーブルに置いたお茶碗に口を近づけて書き込む様に食べることはダメだというのは、前の方の歯でしか噛まない癖がついてしまい、正しい飲み込み動作が身につかなくなったりアゴの成長に悪い影響が出ることを防ぐ為の「智恵」だったのです。

 「お茶で流し込んではダメ」も同様、しっかり噛んで、唾液を十分に出して、その唾液で食塊を作って飲み込むことで、舌や頬の筋肉が十分に使える習慣が身につき、正しい嚥下(飲み込み)が出来る様にするための訓練だったのです。

 最近の食べ物は軟らかく調理されています。だからこそ、よく噛むことを意識しながら食事をしなければ正しい嚥下動作は身につきません。テレビゲームやスマホなど姿勢を悪くする様な「文明の利器」が氾濫している世の中だからこそ、意識して姿勢良く過ごし、姿勢良く食事をすることが重要なのです。

児童が調査した、噛む回数は理想とかけ離れて少ない結果でした。今回の私の話を踏まえて、全校児童が給食時間だけでも、姿勢良く、よく噛んで食事をする習慣になって頂きたいと願っています。

木下矯正歯科について
当院の矯正歯科治療
治療費用のご紹介
医院概要・アクセスマップ

34.64767020837165,135.51097484418028

木下矯正歯科

34.6474319,135.51092119999998